米国キリスト教映画が意外なヒットに

わずか50万ドルの元手で製作された、80年代の有名映画スター、カーク・キャメロン主演の映画が、テレビ、新聞広告等に頼らず、口コミだけで、なんと最近興行収入で4位に食い込み、10月初旬には680万ドルを売り上げるという健闘を見せた。
アメリカABCニュースによれば一躍大ヒット作品となったのは映画『ファイア・プルーフ』。これにより、アメリカにはキリスト教映画の市場が存在することが浮き彫りになり、ハリウッドの経営者たちも苦慮している、という。
本作は9月26日からアメリカの各映画館で公開が始まった。1週間もたつと、この作品のヒットに疑問を感じる者はいなくなったという。作品はキリスト教思想を背景に、夫婦の危機を何とか乗り切ろうとするある消防隊員の男性を描いた。と同時に、これは8000万の熱心なキリスト教プロテスタント教徒へささげる最新作。共和党副大統領候補ペイリン氏が瞬く間に時の人となったのと同様に、すぐさま人々に受け入れられた。これは、キリスト教プロテスタントコミュニティーの力はいまだ衰えを見せていない、ということを物語っている。
本作の影響は製作者の期待さえ超えるものに。もともと興行収入の目標が3、400万ドルで、公開後の最初の週末にトップテンに入れれば御の字だ、と思っていたという。しかし、結果は予想外。なんと、コーエン兄弟の新作「バーン・アフター・リーディング」、およびスパイク・リー監督の『セント・アンナの奇跡』さえも上回ったのだ。「バーン・アフター・リーディング」はブラッド・ピットとジョージ・クルーニーの共演、しかも公開からすでに三週目に突入。『セント・アンナの奇跡』は、公開後最初の週末の興行収入はわずか350万ドルに過ぎないという。
さらに注目に値するのは、『ファイア・プルーフ』公開時、上映映画館はわずかに839。つまり、本作は毎回平均して、8100万ドルの興行収入があったのだ。9月末の週末には、3500もの映画館で上映中のD・J・カルーソ監督の渾身の作品『イーグル・アイ』に次ぎ、第2位に躍り出た。
『ファイア・プルーフ』の脚本は、監督でもあるアレックス・ケンドリックとその弟ステファンの共同で作られた。また、ステファンは映画の製作にも関与。彼らによって制作された作品は3本にのぼり、キリスト教界のコーエン兄弟との別名も持つ
ケンドリック兄弟にとっては、『ファイア・プルーフ』は単なる映画というだけではなく、使命とも言える。彼ら兄弟はアメリカジョージア州アルバニー市のシェアウッド・バプテスト教会の牧師。彼らの映画制作会社(シェアウッド・ピクチャーズ)は3000名のメンバーからなる教会組織で、作品の利益はすべて教会へ手渡される。
ケンドリックは教会に副主任牧師として採用されるや否や、すぐに自分の裏庭でばかでかいカメラを使い、映画撮影を開始。主任牧師のマイケル・カットはかつて、この教会がアルバニーという小さな町から世界へと羽ばたいてほしいと願っていた。そして、アレックスに将来5年の間にどんな計画があるのかを尋ねた。
アレックスは「主任牧師に『1作目となるキリスト教作品を撮りたいが、実現可能かどうか分からない。』と伝えると、彼は逆に『なぜ無理なんだ?』と私に尋ねた。」と回想する。
2002年、教会メンバーは2万ドルの寄付金を集めてくれたばかりか、ボランティアとして縁の下の力持ちに。また、映画出演も自ら買って出てくれた。おかげで、ケンドリックは『フライ・フィール』という名の作品をとることができた。この作品は、映画館で6週間上映され、アルバニー市の興行収入としては第2位の記録を残した。
ケンドリック兄弟の2作目の作品は『フェイシング・ザ・ジャイアンツ』。これはある高校のアメリカンフットボールのコーチの奮闘の記録である。作品には『ファイア・プルーフ』を超えるボランティアが関与。制作費は10万ドル。2006年、キリスト教作品を主に配給する映画会社プロビデント・フィルムズとアメリカの有名プロデューサー、サミュエル・ゴールドウィンの協力で『フェイシング・ザ・ジャイアンツ』を各映画館で上映。作品の興行収入は1000万ドルに達した。
他のボランティアと同様、主演のキャメロンも6ヶ月のロケ中、アルバニー市での経費を教会に払ってもらった以外は、一銭も受け取らなかった。しかも、シェアウッド・バプテスト教会は慈善団体(キャンプ・ファイア・フライ)へ寄付も。キャンプ・ファイア・フライはキャメロン夫妻が共同管理する慈善団体で、定期的に病気を持つ子供たち、及びその家族へ1週間の無料休暇を提供している。
キャメロンの妻は作品の中で、ささやかながら大変重要な役を演じた。本来、テレビの脚本ではキャメロンと(アイリーン・ベシー演ずる)スクリーン上の妻が長時間のラブシーンと温かく抱擁する場面があった。だが、シェアウッド・ピクチャーズには譲れない原則が。それは劇中の男女の俳優は夫婦の場合のみ、キスシーンが許される、というもの。キャメロンもこれを守ったのだ。
キャメロンとその妻チェルシーは結婚してすでに17年。今では6人の子持ち。彼は「かつて妻に自分の唇は君だけのものだ、と誓ったことがある。もしこの信念を守るために映画やドラマに出るチャンスを失ってもかまわない。妻を裏切るようなことはしたくないから。もし、ハリウッドの俳優たちが皆、夫婦の関係に対しもっと神聖な態度を持てば、これほど多くの離婚は発生しないはずだ。」「けれど、この作品にはどうしてもキスシーンが必要だった。だから、ケンドリック監督はチェルシー(自分の妻)をベシーの替え玉にして、横から撮影したんだ。」と話した。
この作品の撮影のため、ケンドリック監督は10週間かけて『ザ・ラブ・ディア』を書き上げた。作品中の出演者は皆、本の人物像をもとに設定。また本では40余もの連れ合いへ大胆な愛情表現の方法を列挙。本書はアマゾン・ドット・コムですでに売上トップ20に入っている。
エリックス・ケンドリック監督は「これは思いもかけない結果だが、神の思し召しには何ら驚くことはない。」と話す。
『ハリウッド・リポーター』の報道によると、『ファイア・プルーフ』には人を元気付けるパワーがあり、熱狂的な反響を巻き起こしているという。作品で描かれるのは、愛情のない夫婦が信念のもと、新たな一歩を踏み出すまで。特に、アルバニー市の消防隊員ホルトとその妻ベシーのもつれた夫婦関係に焦点を当てている。
ホルトの仕事における座右の銘は、『決して仲間を見捨てない』。しかし、妻はほったらかし。彼は、この格言を夫婦間では実践していなかった。ベシーに言わせてみれば、『ネット上で一人楽しむのが好きな人。』だったのである。
ホルトを気遣う父親、マルコムは危機を迎えた夫婦関係を立て直させてあげようと、息子へ手書きの40日計画表を渡す。この計画は『ラブ・ダイア』と呼ばれ、キリスト教理念が色濃く反映されている。初めは抵抗感のあったホルトだったが、忠実に父親の提案を守った。妻は同僚との火遊びに日増しに夢中になっていったが、しかしホルトな変わらず、努力を続けた。
作品のラストでは、主人公はお互い関係を修復。そして観客に新たな理念を見せてくれた。ホルトが忠実な同僚に言った言葉を借りれば、『俺はやったぞ。』
神洲映画製作所 http://www.shenzhoufilm.com/sz/jp/2008/10/15/a100061.html 2008-10-15 21:53


